4月28日
4月28日9時 地上天気図(クリックで拡大)

鳩待峠から入山しようと思っていたが、駐車料金が高いので富士見下に変更。そうこうするうちに、雪が降り始め、気温の上昇ともに霙に。寝不足による眠気もあり、モチベーションが下がって車中でもう一眠り。結局、8時45分頃という遅い出発になってしまった。
林道に雪はなく、しばらく林道を歩き、田代原からスキーを履く。今回はステップソールの細板と、布製のテレマークブーツ(クロカンブーツに近いもの)だ。歩きやすいが、後で滑りでは苦労することになる。
やがて日が差し出す。しかし、これはいわゆる疑似好天であった。
富士見小屋からアヤメ平へ。小ピークを越えるところで方向を失う。周囲の地形も見えていたので、勝手な判断で左に折れて下り始めると、真新しいスキートレースに出会う。数メートル離れてたった今すれ違ったことに、気がつかなかったのか?
そこでよく周囲を見ると、何と見覚えのある地形だ。何のことはない、自分がつい先ほど付けたトレースである。リングワンデルングに陥っていたのだ。それも、わずか半径10m位の。これは、かなりショックだった。樹林帯の中とはいえ、ガスっていたわけではない。思いこみとは怖いもので、コンパスも見たのに信用できなかったのだ。トレースを逆にたどると、小ピークでもなく、ただの緩斜面を横にそれただけだった。
|
|
4月28日9時 500HPa高層天気図(クリックで拡大)

地上天気図では、能登半島付近に小さな高気圧があるが、多少天気が崩れる程度かなあ、と思わせられる。しかし、500HPaの高層天気図を見ると、すぐ西側に鋭いトラフが見られる。寒気を伴っており、中心部は-27℃〜-24℃。強い渦度があることも示されている。大気の状態は非常に不安定であり、発雷と降雹のおそれもある。
|
4月28日12時 衛星赤外画像

衛星赤外画像には中部・北陸から東北にかけて白く輝く雲が写っており、発達した対流雲があることがわかる。
さて、アヤメ平(1968.8m)に着く前頃から、今度は本当に濃いガスに巻かれる。視程は数メートル、ホワイトアウト寸前だ。だだっ広い雪原のため、GPSを使って慎重に進む。横田代まで下ると視界は回復したが、雷鳴とともに激しく雪が降り始めた。樹林帯まで下りてからで良かった。上は吹雪だろう。
ここから調子に乗って鳩待峠方向に滑ると行き過ぎてしまい、少し登り返しぎみに大きく北へトラバース。メッケ田代からは山ノ鼻へ楽しく滑る。
山ノ鼻から猫又川に沿って登る。天気は小康状態となった。積雪深はやはり例年よりやや少なめのようだ。二俣で何とかスノーブリッジを渡って右俣へ入り、沢沿いに外田代経由で岩塔盆地へ。積雪は例年より多そうであり、意外だ。
霰混じりの雪が再び激しくなる。テントを設営してやっと一心地がついた。ステップソールのおかげで、今日は1日シールなしで歩けた。
雪と霰は夜半まで降り続き、寒気が流入しているせいで寒い夜だった。
|
4月29日
--- 岩塔盆地 ---

昨夜は10cmほどの降雪があったようだが、夜半過ぎに目が覚めたときには降るように星が輝いていた。
昨日とはうってかわって穏やかな快晴、気持ちのいい岩塔盆地の朝を迎えた。11時間たっぷり眠り、6時20分に起床。今日はここをベースキャンプにして、軽装で行動だ。
今日は、平ヶ岳往復だ。ここから平ヶ岳への稜線に出るには、いろんなルートが考えられるが、滝を見に行きたくなったので、雪で埋まったワル沢源流を遡行して大白沢山西側鞍部に出ることにした。
7時40分にテントを後にする。真っ白な新雪に覆われ、景色がすばらしい。軽い新雪をシール歩行するのは楽しい。
一段登って瞳ヶ原を横切り、小鞍部を超えてワル沢へ下りる。ほとんど傾斜のなくなった沢を少し登ると、3つの沢の合流点があって広場になっており、正面に滝が2つ掛かっている。プルプル滝だ。
|
--- プルプル滝 ---

朝にだけ観ることができる、瀑布に架かる虹を見る。『プルプル滝』は、虹がパープルに見えたことから西丸震哉氏が名付けたものだ。
スキーを外して、右側の雪壁を登る。滝の上からはワル沢源頭部の気持ちいい広い斜面を登って稜線へ。
|
|
--- 平ヶ岳 ---

ここからいくつかのアップダウンを超えて平ヶ岳へ。今回の装備のおかげか、どんどん先行者を追い抜く。平ヶ岳(2141m)着10時50分。巻雲。ただし、形状が晴れ巻雲なので心配はない。風がやや強いので早々に退散する。
帰路はステップソールを生かしてシールを使わずに歩けた。
|
--- 大白沢山 山頂---

大白沢山(1942.0m)に登る。広い頂上でしばらくのんびり。
|
|
--- 大白沢山南の不思議な沢 ---

下りは、南側の不思議な沢状地形を滑ることにした。U字谷と数段のモレーン状地形で、一見、谷氷河地形にも見えるが、かつての氷期や亜氷期に氷河が発達したにしてはちょっと標高が低い。詳しくは、雪がない時期に堆積物や擦過痕等を調べないとわからないが(雪のない時期に藪を漕いでここに来る元気はないけど)、たぶん、山体のずれにより生じた線状凹地が雪食や周氷河作用によって丸みを帯びた地形ではないかと思う。
急斜面と緩斜面を数段滑ると、谷の末端部となる。ここも不思議なことに、池となって出口がない行き止まりの谷だ。
右に折れると、朝通ったプルプル滝の広場に出る。
テントに戻り、岩塔盆地の午睡を楽しむ。ここならではの楽しみだ。
夕方、カッパ山(1822m)を往復。
|
4月30日
--- 景鶴山---

5時30分起床、今日も快晴だ。
テントを撤収し、6時50分出発。カッパ山北側鞍部からほとんど下ることなく広い沢へ下りる。この付近は、カッパ山火山の出現によって滝ノ沢がせき止められてできたと思われるなだらかな地形だ。
沢に沿って登り稜線に出る。
さらにひと登りで景鶴山(2004m)西側の肩へ出る。尾瀬が一望でき、いい場所だ。
スキーを担いで岩稜を縦走するのは大変なので、北側を巻いて東の肩に出て、スキーをデポして景鶴山頂を往復。
|
|
--- ケイズル沢 ---

当初の予定では、与作岳から東電小屋方向へ尾根を下りる予定だったが、ケイズル沢を覗き込むと結構良さそうなので、ここを滑降した。上部は広くて気持ちいい。こんなふにゃふにゃのブーツで急斜面でも大丈夫か、と思ったが、雪は緩んでいるので広い斜面では問題なかった。途中から滝を避けるため左(東)の斜面に移ったが、雪が多くて滝は埋まっており、そのまま滑っても大丈夫だったようだ。樹林帯では、剛性のないブーツで苦労した。
橋板が外されたヨッピ橋をこわごわ渡り、竜宮小屋方向へ尾瀬ヶ原を横断。広大な雪原は、穏やかな天気と相まって爽快だ。
竜宮から富士見小屋へ登り、雪の林道を一気に下山した。 |