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3月1日9時 500HPa高層天気図(クリックで拡大)

国道17号火打峠北側の除雪されたスペースに駐車し、6時15分出発。雪が降りやや強い南風が吹いているが、気温は0度Cで比較的暖かい。
別荘地再奥の除雪終了地点でスキーを履いてシール歩行。林道には昨日のものと思われるトレースがあったが、ヤカイ沢に入っていくトレースは無かった。昨日の好天の後数cmの積雪で、ラッセルはそれほど深くない。
7時頃急速に天候が回復、空には高層雲や積雲のみとなって、平標山頂が見えるようになる。だが、今日の気圧配置で日本海側の地方や脊梁山脈の天気がよくなるはずはない。
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3月1日9時 地上天気図(クリックで拡大)
【擬似好天】
冬季の日本海側地方や脊梁山脈で擬似好天が起こる気圧配置にはいくつかのパターンがある。
代表的なものとして従来言われてきたのは、日本海低気圧が近づいて冬型気圧配置が崩れた際の天候回復であるが、これは半日〜10時間程度好天が続くこともあり、情報を的確につかめれば積極的に行動を起こすことを狙ってもよい程なので、擬似好天と呼ぶべきでないと最近は言われている。
最も注意すべき擬似好天は発達した二つ玉低気圧に伴うもので、二つの低気圧を南北に結ぶ閉塞前線の背後に発生することがある小さな好天域だ。山中でこれを天候回復と勘違いして行動を再開すると、直後に襲ってくる寒気と暴風雪によりとんでもないことになる。
今回の一時的な天候回復の理由はなんだろうか。
500HPaの気圧場と温度場を見ると、サハリン上空の寒冷渦から伸びる寒気を伴った深い気圧の谷が通過中だ。9時の地上天気図では、寒冷前線が日本の南東海上に抜け、冬型気圧配置になるつつある。だが、等圧線のカーブをよく見ると、天気図には描かれていないものの、主前線の後ろ、関東付近に二次前線が存在することがわかる。時間帯と前線面の傾斜も考え合わすと、この2つの前線に挟まれた場所で一時的に天候が回復したものと考えられる。
事前に二次前線の存在を予測するのは困難だが、天候回復を怪しむことは気圧配置を把握していれば可能なはずだ。
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30分ほどでやはり北西の風に変わり、前にも増して雪が降り始めた。
谷の奥で右に折れ、ヤカイ沢右俣の二つ右にある小尾根を登る(通常よく登路に取られる尾根はさらに右側)。ラッセルはそれほど深くなく、キックターンを繰り返して順調に高度を上げたが、稜線に出る直前で激しい吹雪となる。あと20分ほどで登頂できそうだが、明日また登ることだし、体調も今ひとつだし、無理をしてもしょうがないのでここで引き返すことにした(計画は、平標を越えて西ゼンを滑り土樽駅までの予定だった)。
新雪のすぐ下に硬い雪があり、大変滑りにくい。休み休み滑ったが、それでも11時半に車に到着。
これほど早い時刻の下山は予定外だ。明日もまた登る予定なので、どうやって時間をつぶそうかと思う。とりあえず二居の『宿場の湯』に移動。入浴後、外は激しい降雪で建物の外に出たくなくなり、持ち込んだ気象学の本を読みながら休憩室で7時間(!)過ごす。そういえば、気象予報士の資格取得を目指していた時、テキストや過去問を持ち込んでこんな場所で勉強したこともあった。山中泊の時にもテキストを持ち歩いていた。あの1年弱、本当によく勉強したなあと思う。
雪は1日中降り続いたが、夜には止む。 |
3月2日
3月2日9時 地上天気図(クリックで拡大)

6時20分、昨日と同じ場所を出発。夜間一時晴れていたが、また雪が降っている。ただし、だんだん小降りになる傾向だ。空を見ると、一様に雪雲に覆われている感じではなく、濃淡があってだんだん薄れていくようだ。
別荘地再奥の除雪終了地点からラッセル。昨日のトレースはすっかり無くなっているが、軽い雪なので深くてもラッセルは楽だ。
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--- 平標山頂から日白山を見る。中央下の小尾根をこの後登った ---

谷の奥からは、昨日登った尾根ではなく、さらに右の通常よく登られる尾根に登路を取った。やや遠回りだが、キックターンを殆どすることなく稜線まで上がれる。
雲の薄れてきた上空を見ると、切れ切れの層雲や層積雲が南に飛ばされていくが、谷の中では巻き返しの南風である。
稜線に出ると強い北風にさらされるが、厳冬期のものと比較するとなにか春の気配がある。移動性高気圧の張り出し初期の風だろうが、やがて収まるだろう。
主稜線手前の、いつも苦労する氷化した斜面を登る。ここで初めて後続の登山者を下方に見たが、ここからはラッセルがないため結局追いつかれることはなかった。
ずっとガスに隠れていた頂上も見え始め、平標山に登頂するころにはガスも取れ、周囲の山々も見え始めた。
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--- 平標沢 ---

強い風のため、くつろぐこともなくすぐに滑降準備をする。氷化した西ゼン源頭部を西にトラバースして、平標沢に入る。上部はクラストしていたものの少し下るとすぐにすばらしいパウダー斜面となった。テレマークターンが楽しい。
晴れ巻雲が浮かび、風も止んで穏やかな天気になった。標高が低くなると、日射も加わって雪が腐り始めたが、十分楽しめる。
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--- 平標沢源頭部。先ほどのシュプールが見える。二居俣沢中間尾根より ---

標高1000m付近から広い二居俣沢を登る。雪はますます重くなってきた。突き当たりの二俣から中間の急な尾根に取り付いたが、重たい雪のラッセルとシール面への着雪に苦労する。シールワックスを2回塗りなおしたが、全然効き目がない。あきらめて”高下駄”状態のまま登った。
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--- 二居俣沢中間尾根上部 ---

主稜線手前の痩せ尾根まで来ると、谷川連邦の眺めがすばらしい。(下) |
--- 左から、朝日岳、一ノ倉岳、谷川岳、オジカ沢ノ頭、万太郎山、仙ノ倉山、平標山 ---

重たい雪でバテながらも日白山の南、主稜線の鞍部へ登り着く。ここで、今日初めてトレースに出会う。日白山までは目と鼻の先だが、時刻が遅くなったので行くのは止めにする。
地王堂川へドロップ。すっかり雪が重くなったとはいえ、まだまだたっぷり楽しめた。トレースに導かれて二居へ。
この距離のラッセルを一人で貫徹でき充実感に浸るが、この後車へ戻るまでの国道歩きは堪えた。
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