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高幽山(1746.9m)テレマークスキー
2009年 3月20-22日

以前から行きたかったが、余りにも山深くて躊躇していた、会津朝日岳南方の山域。深雪ラッセルの無い今冬がチャンスと、3連休を利用して出かけた。当然ながら誰にも会わない、静かな山行を楽しめた。

【山域】 南会津
【日時】 2009年 3月20-22日
【コース】 3月20日: 南会津村・小立岩 - 小沢山 - 稲子山(1606.5m) - 下梯子沢 - 黒谷川(幕営)
3月21日: 黒谷川 - スギゾネ沢 - 東実沢 - 東実沢・西実沢間の尾根 - 高幽山(1746.9m) - 東実沢 - 黒谷川 - 下梯子沢(幕営)
3月22日: 下梯子沢 - 稲子山 - 小沢山 - 小立岩
【メンバー】 単独
【天気】 20日:雨のち雪/ 21日:快晴/ 22日:曇のち雨

3月20日12時 衛星可視画像                     
3月20日
小立岩にて車中泊、朝は雨になると予想していたので、朝はゆっくりと7時起床。思った以上に雨がざあざあ降っている。今日の行程は余裕があるので、しばらく出発を見合わせることにした。
9時半頃に再度目が覚めると、雨は止み薄日が差し始めている。あわてて準備して、10時15分出発。薄日が差したり小雨が降ったり、安定しない。安越又川沿いの林道を、シール歩行でたどる。小沢山取り付き点までは林道はしっかりしていることを以前に確認済みだが、雪が所々切れていて、そのたびスキーを外すのが面倒だ。今冬は本当に雪が少ない。
876m地点から小沢山へと続く尾根に取り付く予定だったが、橋が落ちていて、沢が渡れない。沢の上流を見るとスノーブリッジがあったのでそちらへ向かうと、このまま沢を登った方が急な尾根に取り付くよりよさそう。しばらく沢を行って、枝尾根に取り付いた。気温は7度でかなり暖かく、雪はザクザクだ。
小沢山に近づく頃、小雨は小雪に変る。気温が急激に下がっているが、これは高度が上がったことよりも、寒気が流入してきたことによる影響が大きい。今後天気は悪化すると思われるが、雨よりはましか。
衛星可視画像を見ると、寒冷前線による雲は太平洋側へ抜け、その西側では好天域が見られるが、脊梁山脈から日本海側の地域には寒気による雲が発生している。日本海上の筋状の雲は少ないため、長く続く厳しい冬型ではない。明日の天気は大丈夫だろう。
小沢山頂上は巻き、鞍部まで少し下ってから稲子山へ登る。急な尾根だが、上部は雪庇が無いため困難はなかった。

        --- 下梯子沢源頭部、ぶなの疎林を滑降 ---

稲子山頂上の一角につくころ、気温はさらに下がり吹雪になった。震えながら滑降準備をし、北西の斜面へ入ったが、雪面は先ほどまでとは打って変わり、表面バリバリのモナカ雪に苦労する。それでもしばらく下ると雪は緩み、ぶなの疎林の楽しい滑降となった。
斜面が沢状になると、すぐに水流が見え始めた。今年は本当に雪が少ない。稀に見かける赤布はとんでもなく高いところに付けられていて、今年の雪の少なさがよく解る。少ないスノーブリッジを何度か渡りながら、梯子沢を黒谷川へと下った。
標高900m付近は広い地形になっている。西丸震哉氏が著書『机上登山』の中で、行ってみたい場所のひとつにあげられている所だ。上高地のような景色を期待されていると言う。だが、実際はぶなの林になっていて、景色は望めなかった。少し引き返して、梯子沢と実沢の合流点で幕営、深山の一夜を過ごす。

3月21日9時 地上天気図(クリックで拡大)
3月21日
6時15分出発。移動性高気圧に覆われ、快晴。元の計画ではまず丸山岳に行きたかったのだが、雪が少なくて沢が渡れず、高幽山だけを往復することにした。
実沢からスギゾネ沢へ入る部分で高巻きするが、雪面が硬くて気を遣う。この先随所に出てくる急斜面のトラバースでも同様だ。しばらくスギゾネ沢をたどって、東実沢へと尾根を乗っ越す。

        --- 主稜線へと続く広い支尾根。左が高幽山 ---

何度かスノーブリッジを渡り、適当な所から、高幽山へと続く枝尾根に取り付く。下部は急なので緊張する。斜面が弛くなると支尾根に合流し、やがて尾根は広々としてくる。
前方に主稜線が見えるのだが、なかなか近づかない。真っ白であまりにも広々しているせいだ。それでもやがて主稜線へ合流し、雪庇の切れ目から上に上がると、高幽山山頂はすぐそこだ。

--- 高幽山山頂からドロップ ---        

360度の絶景、風も収まって、穏やかな山頂だった。
滑降準備をするが、心配なのは雪質だ。先ほどまでのように硬いままだと、単なるつらい下りになってしまうが、東南東向きの斜面なので日射で緩んでいることを期待。雪庇の弱点から斜面に飛び込むと、雪面は適度に軟らかくなっていて、滑りやすい。広大な斜面を一人じめだ。最高。斜面はやがて沢へと収束するが、沢床は広く、まだまだ楽しい。素晴らしい標高差約600mだった。
東実沢に出合うと、また何度かスノーブリッジを渡り、今朝同様に尾根を乗っ越してスギゾネ沢へ。さらにもうひとつ尾根を乗っ越し、幕営地付近へと降りた。
さて、まだ時刻が早いので、帰れる所まで帰ることにして(明日の天気は下り坂だし、帰りの道路の渋滞も心配)、面倒だが天幕を撤収。昨日のトレースをたどって登る。スノーブリッジの渡渉点を考える等、ルートに頭を使わなくていいので楽だが、やはりかなり疲れている様で、1300m地点でギブアップ。斜面を整地して幕営。

        --- 小沢山の雪庇。南東方向から雨雲 ---
3月22日
穏やかな夜だった。6時20分出発。曇っていたせいで暖かい。稲子山へ上り、面倒なのでシールを付けたまま、小沢山との鞍部へ硬い雪面を下る。鞍部には小沢山からの雪庇が回り込んでいて、上がるのにちょっと苦労する。南風が強くなって、乱層雲が出始めた。

3月22日9時 850hPa高層天気図(クリックで拡大)

朝鮮半島東部を低気圧が東進中。また、西日本南岸にもシアーラインがあるらしい。850hPa高層天気図を見ると、トラフと、前面低層の暖気移流が明瞭。今後これらの擾乱は閉塞しながら強く発達し、暴風が警戒される。
一昨日同様小沢山は巻き、このあたりでシールを外す。この頃から雨が降り出した。だが、雪面は緩んできたようで、滑りやすくなってきた。尾根の上を滑ると、雪面はすっかり春スキーの様相だった。
     赤:シール登高
     青:滑降
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