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入道岳(1778m)テレマークスキー(古雪沢滑降)
2017年 3月25日

魚沼三山・八海山の最高峰、入道岳から古雪沢を滑降。
【山域】 魚沼三山     地図(クリックで拡大) →
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【日時】 2017年 3月25日
【コース】 広堀橋 - 阿寺山頂上台地 - 1段目平地まで滑降 - 阿寺山頂上台地 - 五龍岳 - 入道岳 - 古雪沢滑降 - 広堀川 - 広堀橋
【メンバー】 単独
【天気】 雪のち晴れ


--- 阿寺山頂上台地からなかなか雲が取れない入道岳を見る ---


除雪終点の広堀橋を3時45分出発。小雪。寒冷渦による寒気が昨日南下、予想以上の降雪があったらしく、10cm以上沈む。暗いため林道で間違えかけたりしながらも尾根の末端に取り付く。
スキーは沈むがシールはよく効き、ラッセルしながらぐいぐい登っていく。いつも苦労する急斜面も、雪が多くてかえって難なく上がれた。このころにはもう雪はやんだが、まだ雲は取れない。

このコースは樹林の開けた平地が途中に3回あって、よい休憩ポイントになっている。最初の平地は標高1005m位、ここから阿寺山頂上一帯に広がる台地まで広い急斜面を3段登ることになる。次第に深くなるラッセルにあえぎながらも、この時期の新雪はうれしい誤算で、モチベーションが上がって順調に高度を上げる。
この季節外れの新雪も天気が回復したらだめになってしまうんだろうなと考えたら、頂上台地に着いたところで早朝のうちに1本滑らずにはいられなかった。馬鹿なことをやってるなと思いながらも、シールをはがして、3段の急斜面を一番下の平地まで滑った。やや湿って重たい雪ながら、新雪滑降を存分に楽しむ。

一番下の平地で再度シールを貼っていると下から一人登ってきたので、彼と前後しながら阿寺山頂上台地まで再度登る。ここまでは先ほどラッセルしたトレースがあるので楽だ。彼も入道岳へ行く予定で、その後は入道沢を滑る予定、初滑降記録になるかもしれないという。

03月25日09時 300hPa高層天気図(クリックで拡大)


移動性高気圧が近づいているはずだが、八海山頂上付近の雲はまだ取れない。状況を観察したいのだが、よく見えない。

上空の気圧の尾根は予想より少し遅れているらしく、昨日の寒気の影響が残っているようだ。
上空300hPaの天気図で、中国東北部から北陸地方を通る円弧に沿うジェット気流が見て取れる。アリューシャンの高気圧がブロッキングとなって北海道東方上空に低気圧がいくつか停滞しており、それを西から南へと回り込む寒気の流れができている。このために、この時期としては多めの降雪が昨日あったし、今日も寒気が完全には抜けないために、山頂部の雲がすっきりと取れない状況になっているようだ。

ここからは、阿寺山へは向かわず五龍岳との最低鞍部(神生池付近)へと巻いた。二人で交代してトレースを伸ばす。鞍部から登りにかかると、モナカ雪が潅木に乗っていていたるところ落とし穴になっていて難儀する。先行していた彼は一度落ち、たまたま後続だった自分は助かった。ガスの中ハラハラする登りだ。
五龍岳を過ぎ入道岳との鞍部で、古雪沢のガスが晴れるのを少し待つと、魅力的な斜面が間の前に広がった。
入道岳のガスも一瞬晴れた。雪庇の下の壁を登って雪庇を乗り越えなければならないが、頂上近くの弱点から上がれそうだ。登るにつれてまたガスが濃くなり目の前も見えないホワイトアウトとなったが、しばらく我慢して登るとやがて急速に晴れてきた。雪庇を乗り越えるともう頂上の一角だった。周囲の景色がすばらしい。

---吸い込まれそうな古行沢滑降途中。この下に氷瀑があった ---


彼は入道沢の滑降をめざすとのことでここで分かれた。大日岳の鞍部に下りた彼をしばらく見ていたが、やがて片手を挙げて合図して、入道沢とテレターンで飛び込んでいった。

さて自分は、先ほど雪庇を乗り越えたところから古雪沢へ滑り込む。すでに日射でずっしりした雪質になってしまっているが、阿寺山などの周囲の景色を見ながら滑る源頭部の広大なまっさらの斜面は、最高に気持ちがよい。雪が重いので大きなテレマークターンで降りていく。
やがて沢が狭まり、標高1220mあたりのノド状になったところに氷瀑がかかっていたので、アイゼンに履き替えダブルアックスでクライムダウン。ここでかなり時間を費やしてしまった。
再度スキーを履き、精神的にも消耗したのでのんびり休み休み滑っていくと、入道沢出合いでシュプールに出会う。彼は入道沢滑降に成功したようだ。
広堀川のゴルジュが雪で埋まっているのは上から確認済み。最後はシールを付けて左岸をせり上がり、尾根末端の林道終点へ。
非常に充実した、すばらしい山行になった。


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